2011年~2012年のインフルエンザワクチン接種について

今年もインフルエンザワクチンの季節になりました。今年もA型2種およびB型1種の3価ワクチンとなっています。
今シーズンから厚生労働省の方針で、小児のワクチンの用法用量が変更になります。これまで13歳以上で0.5mlを1回の注射で、6歳から12歳までが0.3mlを二回、1歳から6歳までが0.2mlを二回でしたが、今年から3歳から13歳までは0.5mlを二回、6ヶ月から3歳までは0.25mlが二回と注射量が増えます。
これまで以上に、注射後の身体の状態に気をつけ、特に2-3日は激しい運動などは控えてください。
山形市では65歳以上の方への補助があり、自己負担額が1300円です。補助額は市町村によって異なりますのでご確認ください。13歳未満の方は2回、13歳以上は1回接種です。65歳未満の方は自己負担です。金額はお問い合わせください。
インフルエンザ希望の方の予約は10月11日より受け付けます。お電話での受付は朝8時半から午後12時半までと午後2時から午後6時までです。中学生までの子どもさんは、原則として保護者(親)が同伴し、予診票に保護者のサインが必要です。また受診前に熱を測り風邪等の病気がないことを確認してください。

脳梗塞の予防と治療

脳梗塞の予防と治療について
 脳梗塞は、血圧治療が進歩しつつある現在、軽症化しつつあるともいわれますが、実際はけして油断できません。欧米化した食生活で、悪玉コレステロールが増えた血液が流れる血管内にアテローマ(血管内皮細胞と脂質、線維からなる動脈硬化巣)が形成され、ここに血栓が詰まったり、ちぎれて脳血管に詰まったりする例が増えているのです。また高齢化とともに増加する不整脈、特に心房細動から血栓が飛んで脳内に詰まる心源性塞栓症が増加しています。
今回は、予防と治療の新しい流れについてお話しましょう。
●おかしいな〜と思ったら
 脳梗塞は突然に意識を失って倒れたりすることは意外と少なく、一時的な手足のしびれや脱力、ろれつが回らない〜話が聞き取りにくい、視力が低下し視野の一部が見えにくい、など本人も意外と気がつきにくい症状で発症し、家族からおかしいと指摘されることも多いのです。上に記した症状は一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、大きな脳梗塞の前兆と考えられています。明らかに普通と違うと思ったら、すぐかかりつけ医に連絡しましょう。
●どんな治療をすることになるか
  一過性脳虚血発作は余震のようなもので、大地震の前触れと考えましょう。大地震で脳が倒壊する前に、地震の源を絶つことが大事です。アテローマ血栓が血管内にある場合、血栓が詰まる予防としてアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールという薬が使えます。心臓内血栓が疑われる心房細動の方にはワルファリンですが、最近食べ物制限(ワルファリンには納豆や海藻等の制限があります)がなく、毎月の血液検査も必要ない新薬-ダビガトラン(プラザキサ)が使用可能になりました。血液の流動性を保ち、血栓が詰まらないようにするには、食事の脂質制限も大事です。
●脳梗塞になってしまったら
 糖尿病や不整脈などの基礎疾患がある方は、不摂生(多量の飲酒や喫煙、不規則な生活)により高率に脳梗塞が生じます。もし夜間や休日などに、突然手足の麻痺や意識障害、言語障害が起きたら!?—–まずすぐかかりつけ医に連絡しましょう。相談の上、脳梗塞の可能性が高い時は、脳外科医が3名以上いてCTとMRIがある救急病院に紹介してもらいましょう(もしかかりつけ医に連絡がとれなくても病院には連絡しましょう)。発症して3時間以内に血栓溶解のアルテプラーゼを注射することで、放っておけば言語障害、手足の片麻痺を起こす方でも劇的に軽快する可能性があります。糖尿病と高血圧、高コレステロールの方は主治医といざという時の対応を相談しておくことが大事です。

脳梗塞は心筋梗塞と同じ、急性病変!
素早い対応が大事!

認知症

認知症の新たな治療について
 医学の進歩とともに、人間の寿命は80年を超える時代になってきました。それとともに出会う問題が認知症です。認知症の最大の危険因子が加齢だからです。高齢化とともに認知症は増加し、現在120万人。2020年には200万人になるともいわれています。

●認知症の証拠(病理学)
 脳の神経細胞の中に、「老人斑」というシミと神経原線維変化という固い滓(カス)が出来てきて神経が壊れて行きます。この原因が最大の謎で、いまだに解明できていません。しかし、メカニズムはだいぶ明らかになってきて老人斑のもとになるβアミロイドが沈着するためとされています。

●治療薬の種類
 これまで、βアミロイドを減らしたり溶かしたりする薬は開発されていません。しかし、脳の働きを活性化するアセチルコリンというホルモンを増やすお薬が認知症の進行を遅らせることがわかっています。この薬の代表がアリセプトです。
今年、このアリセプトに加えてもう一つアセチルコリンを増強する薬が認可されました。それが「レミニール」です。これはアセチルコリンを増やすだけでなく、受容体を活性化することで認知症状を改善するとともに進行を抑制します。
もう一つ新しいメカニズムの薬が「メマリー」です。これは脳神経細胞のグルタミン酸NMDA受容体を阻害することで過剰な神経活動を押さえ、神経細胞を保護するもので、アリセプトやレミニールと併用できます。これらの新しい薬を上手に使うことで認知症への対応がより幅広くなります。

●よくある質問
Q;この認知症薬は認知症の誰でも使えるのでしょうか?
A ; いいえ:アルツハイマー病のみに使用できます。軽症の物忘れ(正常範囲の)には使用できませんし、却って、胃腸症状など副作用がみられることもあります。また脳梗塞や前頭側頭葉型認知症などには使えません。

Q ; 新しい薬とアリセプトは同時に使えますか?
A ; グルタミン酸受容体拮抗剤のメマリーはアリセプトやレミニールと併用できます。しかし、同じ薬効のアリセプトとレミニールは併用できません。

Q ; 脳の記憶や思考力は改善しますか?
A ; 残念ながら、著名な改善は見られません。現在の記憶力や認知力を維持するためのお薬です。内服と平行して頭の体操や適度な精神的刺激を受けることが大切です。

新・プラタナス No114

「新たな価値観で」

 一昨年、同じテーマで巻頭言を書きました。今、新たな気持ちで同じテーマを選びます。あの頃、人の価値観は容易には変わるものではないと思っていましたが、このたびの大災害を経験し、日本人の価値観はあっという間に変わりました。
 未曾有の大地震と大津波。一生のうちにほとんど経験することもないような大災害を目の当たりにして茫然自失。家族や同僚を亡くされた方、家や地域社会そのものを失ってしまった方には心からお見舞い申し上げます。しかし、とてつもない不幸から負けないで立ち上がる人々、苦しくても感謝の気持ちを忘れない人々。見ていて涙が出ますが、同情を超えて逆にこちらが勇気づけられます。
 大きな被災を免れた我々にできることは、物を大事にすること。電気や水道、ガス、灯油、ガソリン。ふだんそこにあって当たり前のものが、実に多くの人々に支えられていること、いかにこれまで無駄遣いしていたかに気づかされました。
 便利さばかり追求し思いやりの心を失いつつあった日本人。大切な何かを取り戻すきっかけになればよい。そして、これからが大変な道のりを残す多くの人々のことを忘れないこと。
多くの尊い犠牲を決して無駄にしてはいけないと思います。

東日本大震災に関連するお願い

地震から時間が経つにつれ、被害の甚大さと被害者の増加に目を奪われます。また被災者の方々の健康も心配です。
ここ山形でも停電など一部に被害がありましたが、岩手・宮城・福島の被害に比べれば軽微にすんでいます。
しかしガソリンや灯油など燃料不足が目立っています。まだ降雪があったりと寒いことも多いですが、流通状況が改善するまでの間、当院では院内の暖房、照明をやや控えめにさせていただきます。また薬の処方に関しても流通状況の回復までの間、長期投薬は控えさせて頂きますので、よろしくご協力お願いいたします。