季節の記憶

秋の話題 —-秋バテとは—-

秋バテとは

いわゆる秋バテと言いますのは、夏から秋への気温の変化や、暖かい日中と夜にかけての温度の変化など寒暖の繰り返しによって生じる自律神経の乱れの状態です。

暑い時は汗をかく、寒い時は血管が収縮し体温を保つ。その反応が気温・室温について行けなくなってしまうのです。

 

セルフチェック解説

  1. 冷房の効いた部屋に長くいた状態が続くと~冷房をやめた環境になっても身体が交感神経優位で汗をかきにくい状態です。秋の日中気温が高い時はうつ熱状態になりやすいでしょう。
  2. 水分の過剰摂取や冷たいものを取りすぎていると~身体が中から冷えてしまい、外気温が高くなっても発汗しにくく、やはりうつ熱にもなりやすい。発汗が少ないのに水分を取りすぎると血液が薄まり、心臓、腎臓に障害のある方はむくみなど障害が出ることもあります。
  3. 夏場にあっさりした食事ばかり取っていたり、睡眠不足が続いていると、秋に気温が低くなった時に体力不足になってしまいます。適度な栄養や睡眠は大事です。
  4. 自律神経は交感神経と副交感神経という拮抗する神経系のバランスで成り立っています。発汗や消化機能は副交感神経で亢進し交感神経で抑制されます。
  5. 冷房の効きすぎや冷たいものの過剰摂取、栄養や睡眠不足などはこのバランスを崩す原因となります。

対策

  1. 衣類を日中と朝夕とで寒暖の差に応じて上手に使い分けて着こなすこと
  2. 気温の低下に対応して胃腸を冷やしすぎないこと(冷たい食品は胃腸で消化するのにエネルギーが必要=負担をかける)
  3. 夏の活動で疲れている身体を十分に休ませること=栄養補給と睡眠をしっかり、また
  4. ぬるめのお湯で入浴しリラックスすることも大事です。

脳梗塞の予防と治療

脳梗塞の予防と治療について
 脳梗塞は、血圧治療が進歩しつつある現在、軽症化しつつあるともいわれますが、実際はけして油断できません。欧米化した食生活で、悪玉コレステロールが増えた血液が流れる血管内にアテローマ(血管内皮細胞と脂質、線維からなる動脈硬化巣)が形成され、ここに血栓が詰まったり、ちぎれて脳血管に詰まったりする例が増えているのです。また高齢化とともに増加する不整脈、特に心房細動から血栓が飛んで脳内に詰まる心源性塞栓症が増加しています。
今回は、予防と治療の新しい流れについてお話しましょう。
●おかしいな〜と思ったら
 脳梗塞は突然に意識を失って倒れたりすることは意外と少なく、一時的な手足のしびれや脱力、ろれつが回らない〜話が聞き取りにくい、視力が低下し視野の一部が見えにくい、など本人も意外と気がつきにくい症状で発症し、家族からおかしいと指摘されることも多いのです。上に記した症状は一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、大きな脳梗塞の前兆と考えられています。明らかに普通と違うと思ったら、すぐかかりつけ医に連絡しましょう。
●どんな治療をすることになるか
  一過性脳虚血発作は余震のようなもので、大地震の前触れと考えましょう。大地震で脳が倒壊する前に、地震の源を絶つことが大事です。アテローマ血栓が血管内にある場合、血栓が詰まる予防としてアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールという薬が使えます。心臓内血栓が疑われる心房細動の方にはワルファリンですが、最近食べ物制限(ワルファリンには納豆や海藻等の制限があります)がなく、毎月の血液検査も必要ない新薬-ダビガトラン(プラザキサ)が使用可能になりました。血液の流動性を保ち、血栓が詰まらないようにするには、食事の脂質制限も大事です。
●脳梗塞になってしまったら
 糖尿病や不整脈などの基礎疾患がある方は、不摂生(多量の飲酒や喫煙、不規則な生活)により高率に脳梗塞が生じます。もし夜間や休日などに、突然手足の麻痺や意識障害、言語障害が起きたら!?—–まずすぐかかりつけ医に連絡しましょう。相談の上、脳梗塞の可能性が高い時は、脳外科医が3名以上いてCTとMRIがある救急病院に紹介してもらいましょう(もしかかりつけ医に連絡がとれなくても病院には連絡しましょう)。発症して3時間以内に血栓溶解のアルテプラーゼを注射することで、放っておけば言語障害、手足の片麻痺を起こす方でも劇的に軽快する可能性があります。糖尿病と高血圧、高コレステロールの方は主治医といざという時の対応を相談しておくことが大事です。

脳梗塞は心筋梗塞と同じ、急性病変!
素早い対応が大事!

認知症

認知症の新たな治療について
 医学の進歩とともに、人間の寿命は80年を超える時代になってきました。それとともに出会う問題が認知症です。認知症の最大の危険因子が加齢だからです。高齢化とともに認知症は増加し、現在120万人。2020年には200万人になるともいわれています。

●認知症の証拠(病理学)
 脳の神経細胞の中に、「老人斑」というシミと神経原線維変化という固い滓(カス)が出来てきて神経が壊れて行きます。この原因が最大の謎で、いまだに解明できていません。しかし、メカニズムはだいぶ明らかになってきて老人斑のもとになるβアミロイドが沈着するためとされています。

●治療薬の種類
 これまで、βアミロイドを減らしたり溶かしたりする薬は開発されていません。しかし、脳の働きを活性化するアセチルコリンというホルモンを増やすお薬が認知症の進行を遅らせることがわかっています。この薬の代表がアリセプトです。
今年、このアリセプトに加えてもう一つアセチルコリンを増強する薬が認可されました。それが「レミニール」です。これはアセチルコリンを増やすだけでなく、受容体を活性化することで認知症状を改善するとともに進行を抑制します。
もう一つ新しいメカニズムの薬が「メマリー」です。これは脳神経細胞のグルタミン酸NMDA受容体を阻害することで過剰な神経活動を押さえ、神経細胞を保護するもので、アリセプトやレミニールと併用できます。これらの新しい薬を上手に使うことで認知症への対応がより幅広くなります。

●よくある質問
Q;この認知症薬は認知症の誰でも使えるのでしょうか?
A ; いいえ:アルツハイマー病のみに使用できます。軽症の物忘れ(正常範囲の)には使用できませんし、却って、胃腸症状など副作用がみられることもあります。また脳梗塞や前頭側頭葉型認知症などには使えません。

Q ; 新しい薬とアリセプトは同時に使えますか?
A ; グルタミン酸受容体拮抗剤のメマリーはアリセプトやレミニールと併用できます。しかし、同じ薬効のアリセプトとレミニールは併用できません。

Q ; 脳の記憶や思考力は改善しますか?
A ; 残念ながら、著名な改善は見られません。現在の記憶力や認知力を維持するためのお薬です。内服と平行して頭の体操や適度な精神的刺激を受けることが大切です。

心身症

 心身症はよくわからないといわれます。日本心身医学会の定義では「身体疾患のなかで、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」とされ、精神疾患=精神病ではなく、身体疾患(身体の症状を有する病気)と明記されています。
しかし、心理的ストレスとの関係が大きいことは間違いありません。
 主な心身症をあげてみましょう。
呼吸器疾患;気管支喘息、過換気症候群、神経性咳漱
循環器;高血圧、低血圧、起立性低血圧
消化器;機能性胃腸症、過敏性腸症候群
代謝内分泌;糖尿病、甲状腺機能亢進症、更年期障害
神経筋肉疾患;偏頭痛、書痙、眼瞼痙攣
泌尿器;夜尿症、過活動膀胱、インポテンス
その他;線維性筋痛症、円形脱毛
 こころと身体の関連はほとんどの病気に認めますが、一般的には身体疾患(各臓器など)の病気は身体の治療のみで回復できます。また精神疾患(うつ病や統合失調症)は精神に焦点をあてた治療が行われます。心と体の両面の関連がある病気は心身両面からの診断と治療が必要になってきます。
現代の専門分化された医療の中では、なかなか両面からのアプローチをする余裕と時間がとれないのが現状で、大病院の専門科に行ったからすぐ良くなるものではありません。身近な信頼できるかかりつけ(特に総合的な視点をもつ内科系の)医師に身体のみならずこころの面も同時に診断治療してもらう必要があると思います。