気管支喘息

~まだまだ怖い気管支喘息~


気管支喘息とは

 大きく分けて、成人の喘息、小児の喘息に分けられます。成人の気管支喘息を定義すると、「気道の炎症と種々の
程度の気流制限により特徴づけられ、発作性の咳、喘鳴(ぜんめい)および呼吸困難を示す病気」とされ、また小児の
気管支喘息は、「発作性の呼吸困難、喘鳴、咳などの気道閉塞による症状の繰り返す病気であり、その背景として多
くは、気道の過敏性を伴う環境アレルゲン(原因物質)による慢性のアレルギー性炎症が存在する」という難しい定義
があります。やさしく表現すると、アレルゲンや患者さんの生活環境から生じる刺激物質などにより、気道が過敏な反
応を呈し、気道の内腔が狭くなり、その結果突然咳が出て、ゼーゼーやヒューヒューといった音を伴う呼吸となり、息
苦しくなる病気です。しかも繰り返すことが特徴です。

気管支喘息の疫学

 気管支喘息の恐いところは、重症の発作を起こすと死亡することもあることです。最近では年間に6,000人前後が死
亡しています。傾向としては、年々減少を示していましたが、1975年頃から横ばい状態が続いています。年齢別に見
ると、男女とも15~29歳の若年層で増加の傾向を示しています。さらに、死亡例を気管支喘息の重症度別に見たとき
に小児・成人ともに、軽症、中等症の気管支喘息患者さんでの増加が指摘されています。

 また、小児の気管支喘息が増加していることも注目されています。多くの調査成績がありますが、気管支喘息の小
児は,30年前は全小児の1%程度でしたが、最近では6%程度といわれ、実に約6倍も増加しています。さらに、以前
は乳幼児の気管支喘息は比較的まれでしたが、最近では著しく増加しています。増加の原因として、さまざまな説が
ありますが、明確な答えが出ていないのが現状です。

 小児の場合、気管支喘息の予防は、薬を使って気管支喘息発作を起こさない状態を、いかに長期的に維持するか
がポイントです。医師は、患者さんの気管支喘息の重症度により薬の組み合わせや使う量を変えたりしながら、気管
支喘息発作をコントロールします。とくに小児の場合は、上手に喘息症状をコントロールすることで、将来気管支喘息
が自然寛解する(症状が出なくなる)こともありますので、必ず医師の指示に従って、きちんと薬を使用してください。