骨粗鬆症

~骨粗鬆症のあれこれ~


骨粗鬆症治療指針

 厚生省の長寿科学骨粗鬆症研究班というと何やら、堅苦しい雰囲気ですが、この研究者達が進めてきた骨粗鬆症の
治療に関するガイドラインが公表されました。
これは8種の骨粗鬆症の薬剤に対する国内外200の臨床治験に基づく成績の分析です。これによると、現在骨粗鬆症
の人数は全国で1000万人を超えなお増加中です。この診断をするには、骨X線検査、胸腰椎X線、生化学モニー(血
液検査)が有用です。

骨を丈夫にし、骨の密度を高くするにはどうすればいいのでしょう。

 それには、まずカルシウムを毎日の食事でしっかり摂り続けること。しかし、健康な身体を維持していくためには、一生を通していつも同じ量を摂ればいいわけではありません。性別や年齢、体格、身体、状況などに応じて適切なカルシウムを摂ることが大切です。骨は一生分のカルシウムの貯蔵庫です。骨の密度のために、下該当するカルシウムの量を毎日摂り続けましょう。

年代別のカルシウム所要量(1日当たり)

期間 カルシウム摂取量
乳幼児期 500mg
学童・青年期 500~900mg
成人 600mg
妊娠・授乳期 900~1100mg
老年期 600mg

骨は毎日新しくなっています。

カラダが毎日成長しているように、骨も休みなく新陳代謝をくり返しています。例えば全身の骨は2年間で約90%が入れ替わり、新しくなるといわれています。カルシウムが必要なのは、成長期の子供や妊婦だけではありません。誰にとってもいつも必要なもの。日々のカルシウムが長持ちする骨を作るのです。
だから、毎日忘れずにカルシウムをしっかり摂り続けることが大切なのです。

骨は、年齢とともに長く大きく太くなり18才頃には完成します。

 ですが、より密度が高くなっていくのはそれ以降。20~30才には最大の骨量になり、これをピーク・ボーン・マス(最大骨量)といいます。この時期を過ぎると、加齢とともに骨量は減少していきます。特に女性は男性に比べこのピーク・ボーン・マスが低く、閉経後は骨を保護していた女性ホルモンの分泌も低下するため、骨量が急激に減ってしまいます。平均寿命を考えて、女性は男性より長生きするにもかかわらず骨は弱くなり易いのです。
今からでも遅くはありません。若い人はしっかりとカルシウムを摂り中高年のかたもピーク・ボーン・マスがゆるやかに減っていくように積極的にカルシウムを摂取してください。

骨はカルシウムの銀行です。

 カラダをしっかりと支え、内臓を守っている骨。とても固く丈夫なのです。が、骨にはそれ以外にもっと重要な働きがあります。実は体内のカルシウムは、血液と骨の中を頻繁に行き来しているのです。
 骨は新陳代謝を続けている一方で、血液中のカルシウムが不足している時、骨からカルシウムを溶かし出して補っ
たりもします。つまり骨は、血液中のカルシウムの量を調節し、いってみれば銀行のように、カルシウムを出し入れしているのです。骨は固いだけではなく、常に活動しているのです。

カルシウムは運動をしたがっています。

 吸収されたカルシウムを、効果的にカラダに定着させるためには、適度な運動も大切です。食品から摂り入れたカルシウムは、運動によって骨に刺激をあたえることではじめて骨に利用されます。運動不足だとかえって骨は弱り、どんどんカルシウムが溶け出してしまいます。筋肉と同じように、骨も使っていないと弱くなってしまうのですね。若い時は生活の中でよく体を動かすことを心がけてください。
 また、中高年のかたは運動といっても散歩程度で大丈夫。骨を強くするには毎日継続的に行うことが効果的です。適度な運動は骨量の減少をゆるやかにするともいわれています。

カルシウムの吸収には、ビタミンDが必要です。

 カルシウムが吸収される時には、ビタミンDが力を発揮します。ビタミンDが足りないと、カルシウムは吸収されにくくなるのです。しかし、イワシ、カツオや赤身の魚、シイタケなど、ビタミンDを含む食物は比較的限られています。毎日食べるには工夫が必要だし、いったいどうすればいいのでしょうか。ご安心ください。人間の体は日光にあたると皮膚下でビタミンDを作ることができます。

 夏に海水浴や日光浴をすると、冬になっても元気でいられるという話を聞いたことはありませんか?日光を十分に浴びて皮膚に抵抗力がつき、ビタミンDがたくさん蓄えられることに関係があるのです。北欧の人が、夏のバカンスに南欧に行って日光浴をするのは、そのためともいわれています。

 カルシウムが豊富に含まれた食事をすることが大切なのはいうまでもありません。それには、食事は1日に3食しっかりと摂ってください。食事の回数や食品数が少ないと1日に必要なカルシウムを摂りきれないことがあります。カルシウムは、まず必要量を確保することが大切です。カルシウムの吸収を良くするためには、ビタミンDやたんぱく質なども含まれた食品と組み合わせ、栄養のバランスを考えることが大切です。忙しくて食事ができないような時は、時間を見つけて牛乳やチーズなどのカルシウムが豊富に含まれた食品を間食で補うようににしてはどうでしょうか。1日600mg、と覚えましょう。